よし、南米に行ってみよう!と思って南米の観光情報についてググると、必ずと言っていいほど治安に関する情報ばかり出てくる。

アジアやヨーロッパみたく「気をつけて」程度であれば気にしないのだが、あたかも行ったらタダでは帰れないみたいな書き方をされている。読んでると途中で南米に行く気が失せてくるほど。読めば読むほど、なんでわざわざそんな危険で遠いところに行くんだろう?という気持ちになってくる。

しかもSNSなんかを見ていると、結構な割合で現地に行っている観光客が被害に遭っている。なので、あながちウソでも無さそうだ。

ただ、南米には魅力的な街や観光地がいくつもあるし、実際多くの日本人が観光しに行っている。ブラジルには日本人街だってあるぐらいだ。なのに本当にそこまで悪いのだろうか?

そんな南米に2019年11月に初渡航し、約3週間かけて計6ヶ国7都市を一人で巡ってきた。この記事では実際に僕が感じた南米の治安状況についてお伝えしつつ、治安が悪いとされている原因や南米を旅するうえでの治安対策をまとめていく。

南米各国の実際の治安について

実際に訪れたのは、次の6ヶ国7都市。それぞれの状況を簡単にまとめてみた。

ボゴタ/コロンビア

コロンビアの首都ボゴタには3泊してきた。宿泊したのはParque93というエリアのホリデイインエクスプレス。ホテルは快適だし周囲の治安も良かった。

Parque93というエリアに限らず、新市街は全体的にキレイで、おしゃれなカフェやレストランも多く、山間の景色も相まって穏やかな空気が流れている。

旧市街に行くと、最初結構ゴミゴミしている印象を受けたが、賑わっている分逆に安心でもある。

初めての南米の街ということで、正直かなり警戒しながら行動していた。奇しくも数日前にデモがあったため、窓ガラスが割られていたり、多くのお店が閉まっていたりして雰囲気は確かに悪かった。漂う”北斗の拳”感。

ただ結論から言うと、危険だと思うようなことは一切無かった。普段からなのかデモの影響なのかわからないが、確かに街は汚かった。ただし多くの人々で賑わっているし観光客もそれなりにいるので観光地周辺を歩いている分には全く問題無かった。

ボゴタの雰囲気がわかる動画はこちら

リマ/ペルー

ペルーの首都リマには3泊してきた。宿泊したのはミラフローレス地区のFour Points by Sheraton。ホテルはすこぶる快適で周囲の治安も問題無し。朝食も美味しかった。

リマは地区によって雰囲気が大きく変わるが、海に近いミラフローレス地区に関してはヨーロッパの町並みと変わらないほど雰囲気が良かった。旧市街に関しては少し劣るものの、ボゴタと比べても全然キレイで観光しやすかった。同じ南米で隣の国でもこんな違うのかと感じるくらい全体的に雰囲気が良い。

空港近くのエリアや旧市街の更に北のエリアは治安が悪いらしいが、そもそも行く理由が見当たらない。ホテルやお店の多いミラフローレス地区や観光スポットの固まった旧市街周辺だけを見る分には全くといっていいほど危険を感じない。

リマの雰囲気がわかる動画はこちら

アスンシオン/パラグアイ

パラグアイの首都アスンシオンにも3泊してきた。宿泊したのは新市街のホリデイインエクスプレス。ホテルは真新しくて快適。近くに大きいショッピングモールもあり過ごしやすかった。

https://pt-hyatt.com/holiday-inn-express-asuncion/

観光資源に乏しいパラグアイだが、一応旧市街に足を運んでみた。かなり寂れている印象で、今回の南米旅の中では一番不安を感じたかもしれない。とはいえ何か危険なことがあったわけでもなく問題なく観光できた。人気が少ないが、実際に歩いている人は穏やかな人ばかりで、警官もところどころに立っているのであまり心配しなくても良さそうだった。

アスンシオンの雰囲気がわかる動画はこちら

モンテビデオ/ウルグアイ

ウルグアイの首都モンテビデオには4泊してきた。宿泊したのは市内中心部の独立広場付近のホリデイイン。ホテルの建物がボロすぎて快適とは言えなかったが、立地が優れていて観光しやすく、治安の面でも全く問題無し。

ウルグアイ自体南米で最も治安が良いと言われており、その噂は間違いないなと思った。旧市街も新市街もあまり差がなく、どちらも安全に街ブラを楽しめる。4泊もしてると次第に南米にいることを忘れるくらい穏やか。

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ブエノスアイレス/アルゼンチン

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスには3泊してきた。宿泊したのは市内北東部のホリデイインエクスプレス。ホテルは少し古かったが立地も良くて割と快適。

治安に関してはかなり警戒していたが、杞憂に終わるほど良かった。街も汚いと言われていたが、そこまで酷くなかった。港のエリア周辺はむしろキレイかも。南米のパリとも言われている通り、街中の建物が美しい。大都市だからか、他の中南米の都市よりも比較的英語が通じやすくて過ごしやすかった。市内中心部を歩いている分には、ヨーロッパやアメリカのダウンタウンを歩いているのと何ら変わらなく観光できた。

ブエノスアイレスの雰囲気がわかる動画はこちら

リオデジャネイロ/ブラジル

ブラジルのリオデジャネイロには3泊してきた。宿泊したのは空港近くのNovotelホテル。空港と旧市街いずれも歩いていけるので便利だった。部屋はやや少ししょぼい印象だったが快適に過ごせた。

ブエノスアイレス同様、リオデジャネイロもかなりの凶悪犯罪都市と聞いていたので、相当警戒しながら街を歩いた。ブエノスアイレスに比べると若干治安が悪く感じる。明らかに街中にホームレスや物乞いの数が多い。とはいえ普通に歩いている分には何も危険なことは無かった。ヨーロピアンな整った町並みではないが、一方で岩山やビーチ・港・都市が共存した独特の地形が楽しめるのが良い。

リオデジャネイロの雰囲気がわかる動画はこちら

サンパウロ/ブラジル

ブラジルではサンパウロにも3泊してきた。宿泊したのはParaisoという地区のMercureホテル。比較的落ち着いたエリアで、旧市街にも新市街にも歩いていける。地下鉄の駅もすぐそばにある。ホテルも落ち着いたテイストで、部屋も広くて過ごしやすかった。

南米の経済都市サンパウロということで、メインのパウリスタ通りは派手さの無いロンドンや東京みたいな雰囲気を感じる。旧市街のセー教会周辺はゴミゴミしているし確かに怪しい感じがしたが、日中に観光として歩いている分には問題無し。旧市街から南に行くとリベルタージという日本人街があり、そこは治安も良く賑わっている。

サンパウロの雰囲気がわかる動画はこちら

南米が治安が悪いとされている原因は?

実際に南米を旅してわかったことだが、南米が治安悪いとされている原因には「事実」と「思い込み」の2つがある気がする。

原因1:事実

確かに南米は経済状況を鑑みると、治安が悪いのは確かだと思う。街を訪れても実際に貧しい人たちが多いのは確か。特に旧市街周辺にはホームレスや物乞いの人、テント生活をしている人がいる。

なので生活のためにやむなく、窃盗や強盗、その他の犯罪に手を染めてしまう人が多いのは本当だろう。

原因2:思い込み

「南米は治安が悪い」という情報自体が、更に南米の治安を悪く感じさせている気がする。ニュースやネット記事などで、さんざん「南米は〜」と見聞きしてるため、自然と「南米=治安悪い」の方程式ができあがってしまっている。

南米の現地に行って少し寂れた町並みを見たり、南米の人を見た瞬間に「怖い」と感じてしまう。これは中東でイスラム系の街や人を見たときに「危なそう」「怖い」と思ってしまう人が多いのと一緒で、ある意味差別的な問題でもある。

南米での治安対策について

南米が治安悪いとされる原因を考えてみたが、どう考えても思い込みによって余計怖いと感じてしまっている部分が多かった。事実僕は何かをされたわけでないし、むしろ優しく接してくれて、助けてもらってばかりだった。なのに、人気の無い道を通るだけで、少し恐さを感じてしまう。

さんざんメディアで洗脳されてしまっているので、瞬時にそう感じてしまうこと自体はどうしようもない。けれども偏見だけで判断しないように意識して行動していきたい。

個人的には、もし南米で何か被害に遭うとしたら、本当に運が悪かったとしか言いようが無いと思っている。

なので以降は、被害に遭う確率を少しでも下げるためにどうすればよいか?また、どうしたら限りなく被害を少なくできるか?について考えてみた。

対策1:治安の良いエリア/信頼のおけるホテルに泊まる

事前に治安の良いエリアを調べて、ある程度有名なホテルに泊まると良い。そもそも良いホテルがあるエリアは外国人が多くて観光地化しているため、治安が良いケースが多い。IHGやマリオット、アコーホテルズの系列は南米にもホテル数が多い。

南米に限らずだが、変に現地の5つ星ホテルに泊まるよりも、大手グループの3つ星/4つ星に泊まった方が、サービスが安定しているのでおすすめ。

旅先でも、安心して過ごせる場所を確保しているだけでも精神的にだいぶ楽になれる。特に南米は暗くなる前にホテルに戻ることが増えるため、多少奮発してでも良いホテルにしておいた方が良いだろう。

対策2:空路で入出国する

南米では特に陸路のバスで被害にあったという話をよく聞く。もし南米の国々を複数旅するなら、無理に陸路を使わず空路で移動した方が良い。確かに航空券代はかさむが、移動時間も短縮できるし、入出国のトラブルも圧倒的に少ない。

何より「荷物を多く持ち歩く移動時間=危険に晒されている時間」と考えたほうが良い。移動時間を短くすることがそのまま安全に繋がってくる。

また、マフィアやゲリラといったのが多いのも国境付近。特にコロンビアなんかは治安が悪いと言われてる要因の大半は国境付近に集中しているとのこと。

ちなみに2019年にブラジルのビザが緩和されたこともあり、南米の主な国々は観光目的の短期滞在であればビザ取得不要で旅ができてしまう。入出国手続きも比較的空いている空港が多く、アジアや中東などと比べるとストレスフリーで移動できた。

対策3:不要な外出をしない(観光地以外や夜間など)

これは当たり前のことだが、

・観光地でもないエリアをフラフラする
・夜間にフラフラする

この2点を避ければ変なことに巻き込まれる確率は格段に下げられる。

ぶっちゃけ観光地周辺だけであれば、夜に出歩いても特に危険に感じることはなかった。とはいえ、どうしても夜景を見たい場合などを除き、理由が無い限りは出歩かないようにした方が良い。

対策4:出歩く際の持ち物は最小限に

実際観光する上で必要な荷物ってほとんど必要ない。今の時代、スマホの他には食事や乗り物にのるためのお金やカードがあれば良くて、あとは人によってはカメラがあれば良いくらい。

まだ街の雰囲気がつかめていない初日は、出歩く際には最低限のキャッシュとクレカ1枚、あとはカメラと携帯だけを持って出歩いていた。絶対に持っていないといけないものって案外無いので、それ以外の貴重品は全てホテルのセーフボックスの中に預けておこう。

意外だったが、南米は屋台を除けばかなりのお店でクレカが使えるので、キャッシュレスでも生活できる。

対策5:現地人感を出す

南米に限らずやっていたことだが、荷物を少なくして軽快に自信を持って歩いていると、自然と観光客感がなくなってくる。現地に住んでいる人と思われるようになる。

いかにもな大きな荷物を持って、ガイドブック片手にあちこち迷いながら歩いていると、カモにしてくれと言っているようなものである。もし迷うことがあっても、歩いている途中はキョロキョロせずに、落ち着いてスマホいじれる位置まで移動して、改めて方向と道順をチェックし、一気に向かおう。

恐れを無くして南米を旅しよう

僕もまだ一回行っただけだが、南米は素晴らしい場所がいっぱいある。日本人に大人気なウユニ塩湖やマチュピチュなどもある。そうした場所が将来より行きやすくなるためも、実際に現地に行くことが最大の貢献になると思う。

何かあったら自己責任

個人的に、被害に遭うケースというのは、無差別な愉快犯や事故などの本当に運が悪い場合を除いて、本人にも理由があると思っている。

対策をいくつか書いてきたが、どれもあまり難しいことではないはず。でもどれか怠って被害にあったらならば、それは誰の責任だろう?

それを全部「南米のせい」にしてないだろうか?

南米の治安を良くする意識で

南米では、しっかり自分の身を守りながら旅を楽しんで、人にそれを伝えたり、自信が再訪したりといった良い循環が続いていけば、長期的には南米が潤って治安が改善していく方向になるだろう。

なので、まずは「南米=治安悪い」という思い込みを極力なくそう。そして実際に南米に行って存分に楽しんで、現地の経済に貢献してこよう。

最後に、動画でも南米の治安について語ってみたので、良ければご覧になっていただきたい。